その名も恐怖のサバクトビバッタ( टिड्डा टिड्डा )の大量発生が報じられているが、2020年7月時点の現在地は、どこかの最新情報をGoogleマップで表示する。
【 本稿の記事ページの目次 】
サバクトビバッタの現在地はゴーラクプル
ABPニュースの最新情報で2020年7月1日現在は、「 インドのウッタル・プラデーシュ州の都市ゴーラクプル( Gorakhpur )の多くの村で蝗害( こうがい )が発生 」と報じられている。
さっそくゴーラクプルが、どこかの現在位置をGoogleマップで表示する。↓
日本の東京駅から約5,379km( 3,342マイル )ほぼ西の位置にある。
さらに拡大地図も以下に貼る。↓
池だと思ったら、湖だったゴーラクプルの中心に位置するラマー・タル( Ramghar Tal )から246.65km( 153.26マイル )の場所がインドのネパールと中国の国境地帯なので、到達は時間の問題だろう。
では、サバクトビバッタが発生した地域は、どこなのか?。
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バッタが発生した地域がどこかを地図で
では、甚大な蝗害をもたらすサバクトビバッタが発生した地域はどこなのか?
今回のサバクトビバッタの最初の発生は、東アフリカのケニア、エチオピア、ソマリア地域。
3か国では今でも引き続き、途切れないバッタの繁殖が続いている。
サバクトビバッタの最初の発生地域は東アフリカで、その場所がどこかをGoogleマップで示す。↓
日本の東京駅から発生地域のケニア、エチオピア、ソマリアの中心にあるダワ川までは西南西、約1万455km( 6,496マイル )の距離になる。
だが、サバクトビバッタが発生した地域は、ダワ川ではなく「 アラビア半島南部のルブアルハリ砂漠( the Empty Quarter )」である。
2018●5月と10月のサイクロンにより豪雨が発生し、アラビア半島南部のエンプティクォーターで6月から少なくとも9か月間、繁殖に好条件が生まれました。
●その結果、検出されず管理されていない3世代の繁殖が発生した。
インドへは、アラビア海を越えて飛来しているが、西アフリカや、北東方向の中東イエメンやオマーン、サウジアラビアにも移動している。
蝗害イナゴの移動経路を地図で表示する
南西アジアでは、モンスーンの雨が降る前に、春に育った群れの多くがインドパキスタン国境に移動したため、一部の群れは東から北の州に続き、いくつかのグループはネパールに達しました。
上図が国際連合食糧農業機関FAO( Food and Agriculture Organization )が公開しているサバクトビバッタの移動経路図だ。
イナゴによる蝗害で、すでに食糧危機が懸念( けねん )されるが、さらに心配になるのが、もしかして日本にも飛んでくるのでは?という一抹( いちまつ )の不安である。
Plant pests and diseases destroy up to 40% of crops every year!
If you are a farmer or work here in agribusiness, here is what you can do to protect #PlantHealth 👇#IYPH2020 pic.twitter.com/pcMdWE9iLe
— FAO (@FAO) July 1, 2020
バッタは中国を横断後に日本に来るの?
サバクトビバッタが日本へ飛来する前に、中国大陸を横断する必要がある。
現在パキスタンまで到達したサバクトビバッタは、今後どこまで進むのだろうか。サバクトビバッタは、高度は海抜2,000mまで上昇することが出来るが、それ以上は気温が低すぎ、上昇できないとされている。そのため、山脈地帯より先には行かないと考えられている。
世界気象機関の資料によると、サバクトビバッタの到達限界は、「Limit of invasion area」に書かれている線になる。
なので、中国大陸や日本列島には到達することはなさそうだ。
上の引用文によれば、サバクトビバッタは高度2キロ以上は気温が低すぎるために上昇できず、山脈地帯を越えられないとしている。
では到達限界地点である、「 Limit of invasion area 」とは、どこなのか?
ネパールと中国の国境に位置する「 ヒマラヤ山脈 」は、世界最高峰のエベレストを含む標高7,200メートル以上の山が100峰以上も連なっている。
海抜2,000メートル以上の上空は低温のため上昇できないサバクトビバッタはヒマラヤ山脈を超えられないので、インドから中国に移動することは出来ない。
したがって、日本へ飛来してくる可能性は限りなく低い。
しかし、7月25日には「 黄脊竹蝗 」と呼ばれる竹バッタが、ラオスの国境から中国に入ったとされる最新情報がある。
中国の雲南省では2,700万坪もの農作物が竹バッタによって食い荒らされたが、サバクトビバッタとは異なる。
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1日の移動距離は100キロを超えるバッタ
サバクトビバッタは、白色の孤独相と緑色の群生相とに変化するが、群生相の成虫は1日に100キロの距離を移動する。
群生相のサバクトビバッタは、驚くような移動能力、飛翔力を見せる。大群は1日に100キロメートルくらい飛ぶこともある。
羽の生えていないホッパー期のバンドと呼ばれる状態でも、1日に200メートルから1.7キロも移動する。
では、なぜこの様な食料被害をもたらす大量のサバクトビバッタが発生したのか?
バッタ大量発生の原因はサイクロンの大雨
今回のバッタの大発生は、2018年5月と10月の2度のサイクロン( 温帯性低気圧 )による大雨が、アラビア半島南部を襲ったときに始まった。
この大雨によってサバクトビバッタが大発生し、2世代が繁殖した。
では、2018年の5月と10月に、それぞれ発生したサイクロンは何か?
クレスマン( 国連食糧農業機関( FAO )の上級蝗害予報官であるキース・クレスマン )氏によると、サバクトビバッタの大量発生のきっかけは2018年5月のサイクロン「 メクヌ 」だった。
このサイクロンはアラビア半島南部の広大なルブアルハリ砂漠に雨を降らせ、砂丘の間に多くの一時的な湖を出現させた。
こうした場所でサバクトビバッタがさかんに繁殖して最初の大発生が起きたと見られる。
同年10月にはアラビア海中部でサイクロン「 ルバン 」が発生して西に進み、同じ地域のイエメンとオマーンの国境付近に雨を降らせた。
サバクトビバッタの寿命は約3カ月で、その間に繁殖する。
繁殖の条件がよければ、次の世代のバッタは20倍にも増える。
つまり、サバクトビバッタは短期間のうちに急激に増加するのだ。
2018年の2つのサイクロンによって、わずか9カ月の間に大発生が3度起こり、アラビア半島に生息するバッタはざっと8000倍に増えた。
増えすぎたバッタの群れは移動を始めた。
2019年の夏までに、それは紅海とアデン湾を飛び越えてエチオピアとソマリアに渡り、その後、もう一度繁殖したとクレスマン氏は言う。
発生地域が違う台風とサイクロンは別物だが、メクヌとルバンが降らせた大雨がサバクトビバッタ大量発生の原因である。
しかもその後も、2019年10月には大雨が降り同年12月には季節ハズレのサイクロン「 Storm pawan 」が上陸して、さらなる繁殖を加速させた。
対策には農薬をドローン散布で60%を駆除
大量に繁殖し続けるサバクトビバッタに対する駆除の方法は「 農薬の散布 」しかない。
ANNの報道では、「 ドローンによる散布で60%のバッタを駆除した 」とあるが全体の6割ではなく、あくまでもドローンの周囲のみだ。
実は農薬を使った駆除は報じられているほど効果を発揮していない。
インド政府は殺虫剤をフルに使うなどしてバッタの駆除を行っているが、なにせ数が数だけに効果は十分に現れていないという。
大量発生している、サバクトビバッタは1日で自身の体重と同じ2gの食料を食べる。
1平方キロメートルで最高8,000万匹以上と言われており、全体の総数は4,000億匹いるとの報道もある。
8,000万匹で計算しても、1日に食い荒らす畑の穀物の量は約160トン以上で、約7万人分に相当する。
イナゴの大量発生の原因がサイクロンなら食物被害の責任を取ってもらい、わがもの顔で行軍を続ける全てのサバクトビバッタを吹き飛ばしてもらいたいものだ。