2020年のたまごである熱帯低気圧が、10月4日に発生したが米軍の最新情報では、どうも第二室戸台風に似た進路予想図を描いていた。
そして、10日になってから太平洋沖へUターンし出したが、その理由はなぜか?
【 本稿の記事ページの目次 】
なぜUターン台風が発生したかの2大理由
台風14号チャンホンは明日の11日から迷走し始めて、フィリピン海へ再びUターンし始める進路予想図を、たどっている。
気象庁公式ホームページ「 台風経路図/台風第14号 」[ https://www.jma.go.jp/jp/typh/2014.html ]を、瓦版茨城のブログ運営者が加工して作成した。
では、なぜ台風14号はUターンして再びフィリピン海へ転回をし始めたのか?
上空を流れる強い西風のジェット気流に乗れば、台風は加速して東に進みます。
しかし、現在はジェット気流は北日本上空を流れているため、台風14号はこれに乗れず、東に進んでいるものの時速20kmに留まっている状況です。
さらに日本の東海上に移動性高気圧、南東海上には太平洋高気圧が存在しており、台風の行く手を阻みます。
今後は太平洋高気圧のやや弱い所を縫うような形で、南に進むと予想しています。
つまり、ウェザーニュース社の情報では、「 偏西風であるジェット気流が離れた北日本の位置を流れているために乗れないのと太平洋高気圧がバリアとなって台風14号の行く手を、はばむから 」だという。
では、ジェット気流と太平洋高気圧は実際はどうなっているのか?
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ジェット気流が北日本上空を流れている
まず、ジェット気流( 偏西風 )が北日本付近を流れていると言うことだが実際の位置は、どこなのか?
そもそも、ジェット気流とは「 上空10,000m前後で吹く強い西風 」のこと。
標高を気圧に直すと、標高9,979メートルは360hpaとなる。
これを、Earth Wind Mapの2020年10月10日の午後9時現在のリアルタイムCGで見ると以下の画像になる。
ただし、アースウィンドマップの選択できる気圧( 高度 )は360hpaがなく、一番近い高度で250hpa( 1万3,990M )なので、そこのスクリーンショット画像となる。
1万メートルより、約4,000メートル高いが、それでも日本列島の上空を流れる約200キロ( ピンク色 )のジェット気流が確認できる。
台風14号の位置も分かるようにしておいたが、日本列島よりも南は流れていない。
太平洋高気圧が弱いので隙間に入って南下
台風14号がUターンする理由の2つ目は、移動性高気圧が日本の東( 主に東北地方 )と南東の海上にあることと、太平洋高気圧が弱まっている箇所を進むからとのこと。
では、2020年10月現在の高気圧の配置図は、実際どうなっているのだろうか?
上の気圧配置図は、10月11日の画像だが、10日現在とそんなに変わらない。
こうしてみると、Uターンして南下する台風14号の通り道には、ほとんど太平洋高気圧が存在していないことが一目瞭然で分かる。
米軍JTWCの進路予想図は九州地方へ向かう
米軍JTWCの2020年10月5日の午後2時30分の衛星画像で、台風14号チャンホン「 TS( トロピカストーム )16W 」が発生した!
JTWC警告の6回目の進路予想図も公開されており、フィリピン海を日本列島の九州地方へ向かって北上している台風14号チャンホンが描かれている。
10月9日の午前9時の予報が80ノットなので最大風速に直すと秒速41.1m/sと、ほぼ「 強い階級 」の勢力にまで発達する予報だ。
九州地方へ最接近する10日の午前9時には、じゃっかん減衰するものの最大風速が毎秒33.41m/sと強い勢力を保ち続けている。
最新#5の警告では、以下の流れで台風14号が発達していくと予報されている。↓
- 10月6日の火曜日
- 午前3時の最大風速・20.56m/s
- 午後3時・25.7m/s
- 7日の水曜日
- 午前3時・28.27m/s
- 午後3時・33.41m/s( 強い勢力 )
- 8日の木曜日AM3時・38.55m/s
- 9日のAM3時・43.69m/s( ほぼ非常に強い勢力に発達 )
- 10日のAM3時・35.98m/s( 減衰し始めるも強い勢力 )
- 11日の午前3時・25.7m/s( さらに減衰 )
そして週末の金曜日から日曜日にかけてが成長のピークとなる見通しだ。
さらに11日の午前9時には25.7m/sに減衰しながら四国地方へも最接近する見通し。
10月5日の午前9時の時点の最大風速は、まだ毎秒17.99m/s( 35ノット )と弱いが、すでに台風に発達している存在位置をGoogle地図で以下に表示させる。↓
座標は北緯が22.6°N、東経が139.0°Eなので、九州地方の最南端、鹿児島県の佐多岬公園からは1,247km( 774.58マイル )南東のフィリピン海の海上にある。( 黄色い☆印は硫黄島 )
進行方向は300°なので、ほぼ西北西と北西の中間あたりの方角に向かって約、時速3.7キロ( 2ノット )と人間が歩くくらいの遅さで進んでいる。
昨年の2019年に伊豆半島から上陸して甚大な被害を出した台風19号ハギビスの卵も10月5日の午前3時に発生しているので、まだまだ予断を許さない状況だ。
米軍10月4日の衛星画像にたまご熱帯擾乱が
次に、米軍JTWCによる10月4日時点の午後6時の衛星画像を、ご覧いただきたい。↓
Official U.S. Navy Websiteの衛星画像には台風14号の、たまごらしき熱帯低気圧の形成の警報とともに、「 熱帯擾乱( じょうらん )90W 」の赤いHIGHの予報円が表示されていた。
いままで当「 瓦版茨城 」は「 撹乱 」と表現していたが正確な日本語訳は「 擾乱 」で、いわゆる大気の乱れを指して言う。
上が、Tropical Cyclone Formation Alert( TCFA/熱帯低気圧発生注意情報 )の画像で、赤い熱帯擾乱の予報円が出ると発行される。↓
むろん、台風のたまごらしき赤い予報円が出たからといって、確実に熱帯低気圧が発生するとは限らないが今回は発生してた。
4日の午後3時時点の熱帯擾乱の気流の位置は、北緯が22.8°N、東経が139.8°Eとなり、以下にGoogleマップで場所を示す。↓( 黄色い☆印は硫黄島 )
こうして見ると、対流活動の渦である台風の卵の段階で、かなり日本列島に近い。
九州地方の鹿児島県の佐多岬公園の海岸の南端から直線距離にして、1,284.05km( 797.87マイル )南東のフィリピン海の海上に位置する。
進行速度は7ノットなので約、時速13キロとママチャリと同じ位の速さで、北向きに向かって進んでいる。
最大風速も極めて弱く、おおよそ秒速8~10k/mの勢力となっている。
Windyの進路予想図も台風14号が日本へ接近
Windyは、10日先までの台風の進路予想が見れる自動更新機能付きのサイトだ。
以下の動画は、不肖この私め自身がWindyの進路予想図を撮影したものをYouTubeに投稿したコンテンツだ。↓
今回、注目すべきは「 GFSモード 」で2020年10月6日の午後1時の時点の気圧配置図だ。
上の画像は、8日先の予報画像だから精度は高くないかもしれない。
予報ではあるが中心気圧が996hpaで最大風速が、23m/sあるので、もしこれが発生したら台風14号チャンホンとなる。
理論上、台風の中心である目の位置は無風なのだが実際は、じゃっかん量の風が吹いている。
ここで注意すべきは最大風速の計測の位置は中心である風力の弱い「 台風の目 」の場所ではなく、やや東の位置の座標となる。
上のGoogleマップが、6日の熱帯低気圧のある北緯31.45°N、東経149.68°Eの場所となる。
東京都千代田区の東京駅から、1,031.22km( 640.77マイル )南東のフィリピン海の海上だ。
ただし、これはあくまでもWindyによる予報であるから外れる可能性もある。
気象庁の予報では10日に九州11日に四国へ!
気象庁公式ホームページ「 台風経路図/台風第14号 」[ https://www.jma.go.jp/jp/typh/2014.html ]を、瓦版茨城のブログ運営者が加工して作成した。
ちなみに末尾の「 typh/2014 」の数字の意味は、「 西暦2020年の14号の台風 」となる。
気象庁の予報も、米軍JTWCの進路予想図とほぼ同じ進路予想図を描いている。
- 10月7日の午前9時・30m/s
- 8日9時・35m/s( 強い勢力 )
- 9日9時・40m/s( 更に発達 )
- 10日9時・35m/sに減衰( 強い )
- 11日9時・30m/sに更に減衰
ただし米軍と比較して、14号の最大風速予想値は強めの予報となっている。
気象庁JMAの予報では、10月10日に九州地方へ、翌11日には四国地方へ最接近する進路予想図を発表している。
上の地図は11日の午前9時の時点の予報の存在位置で、北緯32度25分( 32.4度 )東経134度40分( 134.7度 )のGoogleマップとなる。
四国地方の高知県の室戸岬の南端から105.74km( 65.71マイル )南南東の紀伊半島沖の海上に位置する。
気象庁公式ホームページ「 予想天気図/10月3日09時 」[ https://www.jma.go.jp/jp/g3/index.html ]を、瓦版茨城のブログ運営者が加工して作成した。
気象庁の予想天気図で10月3日の午前9時の気圧配置図に、フィリピン海に中心気圧が1,004hpaの熱帯低気圧が発生している。
しかし今後、この熱帯低気圧が台風14号チャンホンに発達するかまでは不明だ。
10月6日のフィリピン海の海面水温が30℃
気象庁が発表した令和2年10月6日時点の海面水温で日本の南側のフィリピン海が異様に高い。↓
気象庁公式ホームページ「 日別海面水温/10月6日 」[ https://www.data.jma.go.jp/gmd/kaiyou/data/db/kaikyo/daily/sst_HQ.html ]を、瓦版茨城のブログ運営者が加工して作成した。
キホン的に台風が発達する条件の一つが26.5℃以上の海面水温が必要だ。
ところが、フィリピン海の海面水温は10月に入っても、のきなみ30℃を表示している。
台風は海水から発生する水蒸気が凝結して雲粒( うんりゅう )になる時に放出される潜熱( せんねつ )をエネルギーとして成長するので、今後も予断を許さない。
ウェザーニュース社の予報で今後の台風は?
10月初頭に、ウェザーニュース社は「 今現在も熱帯低気圧らしきものはあるが、発達して日本列島に近づくかどうかは微妙な情勢となっている 」と予報していたが、4日には熱帯低気圧の発生を報じた。
10月中旬までは台風シーズンとなるが、ピークは超えているので目先の予報は大丈夫だが、2020年全体はまだ安心はできない。
ちなみに令和2年は、もし上陸なしなら12年ぶりとなる。
過去70年間の統計データでは台風が上陸しなかった年は4回だけだった。
ヨーロッパ予報10月10日に台風14号が四国へ
10月9日の午後9時( 日本標準時 )の予報を出しているのは、ヨーロッパ中期予報センターECMWF( European Centre for Medium-Range Weather Forecasts )だ。
恐ろしい勢力に発達した台風14号チャンホンが、九州地方へ上陸しようかという位置にまで最接近している!
気象庁JNAの西の方角に向かう予報と比較すると、米軍JTWCもヨーロッパECMWFも、日本列島に向かって北上している違いが分かる。
しかも、その翌10日の午後9時には非常に強い勢力を維持したまま、四国地方へも上陸スレスレに最接近しているのだ!!
2019年の台風14号カジキの卵はいつ発生?
では、昨年2019年に発生した台風14号カジキの、たまご( 熱帯低気圧 )は、いつ発生したのか?
8/30/09:18.2N/126.3E( 熱帯低気圧発生 )
気象庁の資料では、2019年8月30日の午前9時に熱帯低気圧( 気象庁では、たまごとは言わない )が発生している。
カジキ発生位置の座標は、北緯が18.2°N、東経が126.3°Eとなるので、以下にGoogleマップで表示する。↓( ☆印は硫黄島 )
14号チャンホンの意味はラオスの木の名前
2020年の台風14号の名前の「 チャンホン 」は、いわゆる色々なものを混ぜる郷土料理のチャンポンとは関係ない。
76/ラオス/Chan-hom/チャンホン/木の名前
チャンホン[ chan-hom ]の意味は「 木の名前 」だが、もし2020年に台風18号モラヴェが発生したら全く同じ意味の名前になる。
台風委員会に76番目に登録されて名前で、命名国はラオス。
いずれにせよ、Windyの週間天気予報が当たらないことを祈るばかりだ。